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谷中らぷそでぃー

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所用で谷中へと出向いた。ここは祖母が暮らしていた町。私も小学校から高校生までの夏休みの半分以上はここで過ごした。その間はこの町から塾やゼミに通った。

あの頃から今もずっと続いている店もあれば、閉じてしてしまった店もある。記憶の中にある昔の町並みを確認しながら、カメラをぶら下げてひとり勝手気ままに歩いた。

中・高校生の頃に足繁く通った古本屋さんのおじさんは、私の卒業前に他界された。当時、ロートレアモン、アンドレ・ブルトン等のシュルレアリズム文学に傾倒していた私は学校図書室の蔵書では飽き足らず、足を棒にして神田の古本屋街を歩きまわり、目的の本を探し歩いた。

今では文庫本で発刊されているが、当時は絶版になっていたので古本屋で入手するしかなかったのが『マルドロールの歌』。だけど、この本だけはどの店にも置いてなかった。

そこで図書室の先生にどうやったら入手できるか、その方法を尋ねてみた。フランス文学を専門に扱っている古本屋を知っていたら、紹介して欲しかったのだ。

だが生憎と彼女は全くと言って良いほどフランス文学に疎く、ロートレアモンもマルドロールもシュルレアリズムの聞き取りもまるでダメ。5回ほど繰りかえし言わされた。

そう、この教師と話していた時に、私は絶望の淵へと追いやられたのだった(←仏文学的な表現w)。

それだけならまだしも、「学校の友人以外にどんな友達がいるのか?」「どこでそんな友達と知り合ったの?」などと、非常にヒステリックな口調で、矢継ぎ早に本の入手経路の質問に対する返答とは関連がない質問をしてきた。

ははぁん、自分の専門分野で無知ぶりを晒されたと感じると、攻撃的になりアラ探しを始めるのだな!と非常に生意気な高校生だった私は思い、ヒステリーな教師と関わりたくない一心ですぐさま図書室を出た。

その足で、慣れ親しんだ日暮里駅にむかい、駅から歩いてすぐ側にあった鶉屋(屋号)に入った。鶉屋はとても小さな古本屋だが、品揃えの良さと古本の状態がとても良い魅力的な店だった。

「ロートレアモンのマルドロールの歌を探しているんですが。」と店主のおじさんに告げると、「おぉ、うれしい事を聞いてくれるね~~~。」とニコニコしながら、いかにもシュルレアリズム的な装丁の本を持ってきてくれた。

それが、探していたマルドロールの歌だった。

ちょっと前に図書室で不愉快な思いをした私には、おじさんが本の神様に思えた。神様とは大げさな気もするだろうが、当時は今のようにネットで調べものなんてする術もなく、その他のシュルレアリスト達の本に関して調べようもなかったので、聞きたかった質問を一気におじさんにぶつけた。

それまで、おじさんとは会計時のやり取りしかした事がなかったが、職業柄もあってか、文学全般に対する知識が前出の教師とは比べものにならないくらい豊富である事がわかった。

おじさんはずっとニコニコしながら、沢山のフランス文学に対するオリジナル解釈を面白おかしく話してくれ、女子高生だった私の本に対する好奇心を十二分に満たしてくれた。

欲しかった本と情報を入手できたことにより、私の不平不満も一気に解消された。そればかりではなく、このおじさんと会話をするようになってから、私も変わりだしたと思う。

それまでは、大人達の欺瞞に対して、思春期にありがちな攻撃的な態度や言動で周囲の大人に対して反抗を繰り返していたが、信頼に値する情報を持っている、包み隠さず情報を与え好奇心を満たしてくれる、寛大な心を持った大人の存在に気づき始めたのだ。

それと同様の出来事が、同じく日暮里駅近くにある朝倉彫塑館のおじいちゃまと話していた時にもあった。この件を書くとまた長くなるので、機会があったらまた書くとしよう。

子供の頃を過ごした町、そして大人になるのを手助けしてくれるた町。それが私の記憶の谷中。あの方たちに出会えて感謝している。

春慶

追記:写真は大好きなカヤバ珈琲のケーキセットです。ルシアン(珈琲とココアのブレンド)を飲みながら、当時の図書館教師は大卒2~3年目位だったのを思い出した。彼女もまだ新米社会人の頃に、生意気な生徒の私から人生経験や読書量の違う大人と比べられて、大変だっただろうな~と感じた。

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